もう春がやってきている。
がまだ冬の残りが肌を刺す。
おまけに出かければ雨が降り、傘を用意しようにも天気の予想が立たない。
予報見てないだけなのだが。
今更年末の話も何だが
年の瀬にはよく子供の声と火の用心のカチカチという拍子木の音がする。
あのカチカチ音は自分にはあったかく感じる。
人によってはそれも騒音、という事らしいが。
ただ、やるのはいいがもう少しやる気出してほしいと思うのは自分だけか。
先に書いた騒音、の部分が気になるならやらなきゃいいし
やるならほんの少しばかり練習するとか、
もう少しばかり大きい声でもいいのではないか?
何だかわからないふにゃっとぐちゃっとした適当なリズムな上はっきりわからないと
どーも不信感が・・(あれは町内会か消防団のお子さんとかかね)
音楽もやっぱそうだし。下手でも自信持ってハッキリやりゃ
下手じゃないってやつだ。
火事の話だが。
実は昔から火事の現場に近い場所に居合わせる事が多い。(ように感じる)
そして何故か必ずと言っていいほど雨が降っている。
小火(ボヤ)で済んでいる事が殆どなのだが
隣の建物が黒焦げとか、下の階の部屋が焼けたとか
正面のマンションが二回も火事、とか。数えれば結構ある。
もう10年以上も前だが、自分の住む階の下で火事が起きた。
住人はというと、無事担架で消防隊により救出された。
火事は夜中に起きた。焦げ臭くて(確か少し煙っていた)
火事と気づいて自分が119番し、必要な物をちょこっと手に取り
階段を降りて外に出ようとした。
(それが何だったか、は忘れた)
安易にもその火事が、小火で済むと思っていたからだ。
出火現場である部屋の前を通り過ぎる時、ふいに中から声がした。
人がいたのだ。
「助けて」
かなり弱々しい声がする。
ノブは熱くないしドアは開く。と思ったがチェーンロックがかかっていて
開けられないらしい。
自分で開けさせようとドア越しに
「チェーンロックを外せ!出来る?」と叫んだが
「出来ない」
そして、ドアの隙間の下の方から手が。
(絵にすればちょっとオカルトだがその時はそう思わない)
ドアの前で倒れてしまっているのか、何らかの理由でしゃがんでいるかわからないが
あまり見えない。
しかし手は見え、動かしている、一刻を争う事態だ。
仕方ないのでチェーンを引きちぎる為に引っ張ってみたが開かない。
「チェーン引きちぎるからそっちからも押して!」
開かない。
そうしていると住人がもう一人来て手伝ってくれた。
「チェーンロックがかかってるから一緒に引っ張って!」
と言ってそいつと「せーの」で引いた。
切れない。
「切る道具持ってくるから待ってて」
取りに部屋に戻ろうと思って階段を上がった時
既に目の前に煙が充満し見えなくなりつつある。
助けるどころかもはや自分すら危ない。
しかしもう一人はまだ必死にドアを開けようと引っ張っている。
やっぱもう引っ張って開ける他ないな。
「逃げないと死んじゃうよ」と他の住人が叫んでいる。
どうにもならないと思ったその時、消防士がやってきた。
そして消防士はチェーンを切り、住人は担架で運ばれ救助された。
良かった。自分はそれを見届け、安心した。
消防士に名前を聞かれ、報告した人間としてメモを取られた。
後で考えると、必死になっていたが危険だったんだな。
どの場面もいろんな意味で、かなりな場面、と言える。
119番し「火事だ」と触れ回り、煙に巻かれつつドアを開けようと
そんな経験までしたが、
実はそれは未だに本当に怖い思いをしていないから平気だった、だけかもしれない。
火事の煙は怖いと聞く。自分も運が良かったのかもしれないと思う。
後日消火が済んだ後、ドアが閉まらず開けっぱなしになった部屋をこっそり見た。
部屋全体ススだらけで壁も真っ黒。なんというか、中だけ蒸し焼きという感じ。
そしてお気に入りだったであろうレコードやCDがダメになっていて散らかっていた。
(プリンスだったな)
火事を起こした迷惑は別として、住民も命に別条はなかったが
それを見てとても気の毒な気がした。
自分の部屋に戻ろうとしドアを開けると、そこで飼っていたであろう猫が
この一件のせいで恐怖に慄き、廊下の隅で目をギラギラさせている。
気の毒で、思わず近づこうとしてドアから手を離した瞬間
あっという間にドアの隙間から入り込んだ。
ベッドの下に居ついてしまい、水をやろうにも二進も三進もいかない。
出そうとしても引っ掻かれてしまう。(これが相当痛かった)
えらく恐い想いをしたのだろうな。声にならない声を出している。
猫はしばらくいたが、ここが自分の居場所でないと悟ったのか、出て行ってしまった。
もう随分経つが、あの猫、その後どうしただろうか。
先日、用を済ませて街を歩いていると、火事があった。
で、やはり雨だった。
自分にとっては迷惑で急な雨で、濡れざるを得なかったが、
乾燥した日より多少はいいんだろうか?
いや。
それも実は火災の種類によっては水が邪魔になったり
油が水に浮いて拡がる要因になったりする場合があるのだそうだ。
エアコン等もホコリと湿気でトラッキング現象が起き
梅雨時に火事が多いとの事。
すぐ隣の道の向うの店が火事のようだ。
なんだか人が集まってきて皆電話しまくっている。火事の現場はいつもこんなだな。
消火栓から水を得る為に結構離れた場所にも消防車がいたりして
8台くらいは目にしただろうか。しかし小火のようで、火が燃え盛る様子もなく
さほど大きな消火もされていなかった。
現場近くにはホースがそこかしこ交差しており、近くの車道は車が渋滞。
消防士が忙しそうに動き回っている。
邪魔しちゃ悪いと思って現場のほぼ真ん中辺りから抜けて
急ぎ足で通り過ぎようとしたその時。
自分の横を、足早に通り過ぎる30代くらいに見える男が
タバコを吸って ホースを飛び越えて 去って行った。
おまえは 誰だ。(LAST FLIGHT♪)
TPOは ドウシタ。
小さい水玉模様(ドットと言うべきか)のおかしなパーカーの
ウィンドブレーカーにジーパン。
忘れないぞ。ドットスモーカー。
にしても、なぜいつも俺の前に出てくるおかしなやつは
頭までフードやら帽子を被っているのだ。
(今回は雨だからだが)
今時タバコを街中で吸いながら歩くのもどうかと思うが
例えばそうしていて偶然火事があった、として
火事の現場でポイ捨て出来ずに通り過ぎようとして?
いやいや。いやいや。
そこに辿り着くまでには気づいて消す事も出来そうなものだ。
雨の中、火事のすぐ横でタバコを吸う、しかも水玉パーカーって
絵的にこのシチュエーションがより一層自分に印象付けてしまった。
まさか。アンタ つけてないよね・・
ていうか言いたかないが、帰ると止む雨、ヤメテクレ。
あと、チェーンロックは意外と丈夫。